【はじめに】
検査の迅速化を考える時、臨床検査が多くの職種の協力で成り立っている現実が
ある。そこで我々は、検査の入り口から出口までの全てを見据えた検査科運用を構
築し『検査の迅速化』を検査科の機能として位置付け実践してきた。その結果、朝
の病棟検体は10時に結果を届け、外来至急は20〜60分で報告している。今回、この
運用を可能にしたソフト面・ハード面について報告する。
当院は、逗子・葉山・横浜に隣接する横須賀北部に位置する、320床の地域密着
型の病院です(一般病床:214床・療養型病床群:54床・介護保険病床:36床)。
検査科は、技師が8名・助手が2名で、血液検査(生化学・血液・免疫)と(細菌
・病理・一般)と生理検査に分かれて24時間体制で運用している。
検査の受付,分析、結果判定、結果報告、報告書発行は従来からの、検査科の中
の業務です。採取容器容器作成や検体輸送・報告書輸送は、検査迅速化のために
我々が新たに実施した見える業務改善です。その他、医師の検査項目選択・伝票
発生・報告書整理などの見えない業務改善も含め、ソフト面とハード面について
示します。
【迅速化の為のソフト面の準備】として、人の能力開発と業務運用の改善が必須と
考え以下のことを 実行した。
1)技師の業務向上を目的に、一般的な項目は全員が出来るようにした。一般的な
項目とは、各部門の至急項目に相当するものです。
2)技師は業務連携と言って、2人一組で二部門を担当し、ニ部門出来る技師を養成
した。
3)検査業務には、受付・登録・遠心分離 等 部門にまたがる業務がある。これ
ら共通業務は参加型の業務として、皆で行うことにした。
4)各検体は、検査科に到着する時間帯に差があります。検体がこない所は、忙し
い部門に支援に行くことにしました。グラフ(図�@)は、検体別・時間帯・
到着割合で。血液は朝にその日検体の4割強が到着し・細菌は朝にその日検体
の2割弱・病理は朝にその日検 体の1割が到着したことを示しています。
5)血液関連(生化学・血液・免疫血清)の報告書は4種類で157項目のせてありま
す。その内の一つに依頼頻度の高い項目をあつめ、報告書枚数の節約をした。
この部門をまたいだ報告書は検査科全体の“報告時間の足並みを揃える”意味
も含んでいる。
6)試薬の欠品で検査が止まっては迅速化どころではない。発注点方式を取り入れ
た在庫管理を行い。無駄の無い購入と欠品を起こしにくいシステムにした。
7)検体を採取現場に取りに行くことで、『仕掛り在庫』を無くし生産性を高める。
図�Aに依頼頻度の高い項目を集めたA報告書を示します。A報告書台紙に時系列で
4回分貼ってある図で、項目の並びは、上から血球計算・CRP・生化学・HbA1c と
なっています。
図�Bに539品目の在庫管理に使用する入出庫帳の一部を示します。日々これで運用
している。発注点は、各品目毎に2年間の実績で計算し、入出庫ミスや・業務量の
増減に対応できるよう設計した。
【迅速化の為のハード面の準備】として、機器トラブルによる検査ストップを無くす
たことにした。実際には生化学自動分析装置・血球計算機の二種類を複数化した図�C。
そして、生化学と血算は絶対止めないことで臨床検査技師の社会的責任を果たすこと
とした。また、遠心分離待ちの仕掛かり在庫対応には小型の遠心器を3台にして、5分
遠心時間で、3分待ちで遠心分離が可能とした。つまり、遠心分離時間の短縮で分析前
時間の短縮が可能になった。全体のTRTの向上が見られた。
【ソフト・ハードの準備を有効に活用するために】実行したことは下記です。
1)外来検体を最盛期は15分間隔で、我々が取りにゆきます。
2)検査科に届いた検体は何時でも受付し、素早く処理した。
3)担当技師が不在の時は、出来る技師が肩代わりする。
4)血液検体は、至急・通常の区別無く 来た順に分析した。
5)生理検査の支援は業務連携をしている免疫血清の技師がおこなう。
【考察】技師の能力開発は個々の技師にとってはスキルアップになり、
本人と共に職場にとっても好ましい事です。この両者にとって素晴らしいことを、
どのように動機付けするかが個々により異なる点です。 業務連携はお互いの仕
事を助け合って運営する業務形態で、小規模の施設に適しています。しかし、こ
の業務の開始時には、検査管理者の『業務の割り振りと協力体制の決定』が不可
欠になる。言葉にすると簡単ですが、検査管理者には重たい業務と感じることが
多い。しかし、業務連携は部門間の業務量均衡には有効な手段で、現在取り入れ
ている施設が多くなっている。
報告書は検査データーが時系列で見れる形式が良いと考える。いま、多くの施
設の検査報告書が限りなく1枚に集約されたものになっている。これは、検査科
で出力しやすく、また、事務さんがカルテに処理しやすい、臨床医が今日の検査
結果が見れる、などの共通の利益から生まれたものと理解する。我々は、報告書
はやはり時系列でカルテに貼られることが最良と考え、プログラムの工夫で時系
列で、集約型の報告書を実現させている。勿論、昨今の、診療前検査に対応して、
緊急報告書と称して、本日分の多くが盛り込まれた報告書も用意している。(図�D)
臨床検査もコスト管理は当然で、我々は、1989年からカンバン方式による在庫
管理を行ってきた。コンセプトは欠品管理で、検査をとめないを目的で行っている。
* これらのことで、時間あたりの生産性が向上したと考えます。
結語
迅速化のために、数分の分析時間短縮より、淀み無く業務が流れて行く仕組みを
作り、 流れ全体として時間を生み出すことが大切と考えます。グラフ(図�E)
は、予約検体と当日検体の処理時間を示しました。予約検体処理に要した時間が
16秒・当日検体処理に要した時間が112秒、この差は、業務の仕組が生み出した
ものと考えることが出来ます。 以上、迅速化には、技師の資質の向上・検査科
の仕組みと運用改善・コンピュータシステムの仕様・現場にあった検査機器選定
が不可欠と考え実践した結果。 検査ストップ無く検査の迅速化ができました。
図�@:検体到着時間帯
図�A:集約報告書(依頼頻度の高い項目を掲載)
時系列で4回分の報告書が貼ってある。
図�B:在庫管理
図�C:主要機器の二重化・生化学分析装置(二台)血球計算機(二台)

図�D:診療前検査に対応した緊急報告書
図�E:
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